(20)待望のシンガポール永住権

コロナショックの暴落が始まった2月中頃、待ち望んでいたニュースが飛び込んできた。シンガポールの永住権が正式に承認されたのだった。

 

これで少なくとも今の仕事がなくなってもシンガポールから追い出されることはなくなったわけだ。文字通り家族3人で飛び上がって喜んだ。

 

ただし実際にICAへ必要書類を提出して正式にIDカードを受け取ってようやく完了したことになる。エージェントが永住権のIDカード取得までの必要な手順と必要書類のリストをメールで送ってくれた。

 

必要書類を準備するとICAへIDカード取得のための面談のアポイントメントをネットでとった。携帯で5分くらいで終了した。シンガポールの政府関連の手続きは税金や年金なども含めてすべてネットで簡単にできるようになっている。

 

そして面談当日がきた。予定より少し早くICAのビルの前に到着すると、いままでの数ヶ月の道のりが思い出されて感慨深いものがあった。

 

すこし古い感じのビルの階段を登っていくと手続きの会場がみえた。

入り口に設置してある機械から順番待ちの番号札を受け取ると、家族3人で呼ばれるまでしばらく窓口の前にある待合エリアで待つことになった。各々が番号を呼ばれてからの面談はスムーズに進み、いままで使っていた緑色のIDカードに別れを告げて、かわりに水色のIDカードをひとりずつ受け取った。

 

リストラ宣告されてから7ヶ月、ようやく1つの課題が完了した。

しかし課題はまだあと2つ残っている。

 

 

(19)コロナショックからの教訓

さてここまで失敗体験のように今回のコロナショックでの損失のことを書いているが、実際にここでなにが悪かったのかを考えてみたい。

 

まずは

「投資先がわるかったのか?」

という疑問だが

 

私はそんなことはないと考えている。

それはただ単に投資の神様のバフェットやジョン・ボーグル(インデックス・ファンドの父)が推奨しているからだけではない。

 

SP500の過去の実績と検証結果

過去のSP500の動きを検証すると、短期での浮き沈みはあるが、SP500は長期ではかならず成長している。トリニティー大学が検証した4%ルールの中でもSP500に投資して毎年4%取り崩した場合、投資額はなくなる可能性はほとんどなく、取り崩しても長期の場合むしろ当初の投資額よりふえる場合もあるという検証結果もでている。

 

システマティック・リスクとノンシステマティック・リスク

米国株投資をする場合にはシステマティック・リスクとノンシステマティック・リスクというリスクがあるが、SP500に投資した場合、分散投資で軽減できるノンシステマティック・リスクはすでに業態の違う500社に投資しているのでデータ上ではほぼゼロになるはずである。システマティック・リスクは政策や国際的な経済状況に左右されるリスクなので、効果的にリスクを軽減できる方法があるなら私が教えて欲しい。

 

では次に

「投資したタイミングが悪かったのか?」

という疑問だが

 

投資したタイミング

「落ちるナイフを・・・」の話を書いたと思うが、たしかにSP500が落ちきってから再び反転上昇したときに買う方が賢かった。たとえばVOO(SP500に連動したインデックス・ファンド)を暴落が始まってからすぐに買った場合の価格を仮にコストが290ドル/1ユニットだとする。「落ちるナイフ」を掴まず落ちきった210ドル/1ユニットから反転したとき買った場合の価格を240ドル/1ユニットだとすると、 50ドル/1ユニットの差が生まれる。もし100ユニットを買った場合、5000ドルの差になる。これは結構大きい。

そんなの当たり前と思われる方もいると思うが、自分のお金を実際に投資しているとなかなか常に冷静な判断をするのはむずかしいものだ。それに結果的には暴落したがマーケットが必ず落ちるとも限らないのだ。

 

どちらにしても、これは大きな失敗ではない。なぜなら15年後の成長したSP500の売買価格をみたらこんな差は誤差になるだろう。

 

では結論は

では、なにか決定的に悪いことをしたのかというと私はそうは思わない。

むしろ、破滅せずに身を切られるような損を体験するのは貴重だ。

こういう経験が投資家としての自分のレベルをあげてくれる。

(18)損失マイナス30%!

その日、2月15日のマーケットは開始から大きく下げた。

前日まで1万ドル以上あったSP500からの儲けは開始早々に0になった。

はじめはアプリが間違っているのかと思ったがそうではなかった。

のちにコロナショックと呼ばれる暴落がはじまったのだった。

 

この日を境にマーケットはすごい勢いで下げていった。

 

「また戻るはずだ。」

 

毎日それを信じて資金を投入していくが2月がおわってもマーケットは下げ止まる気配がなかった。FRBも金利をゼロ金利に誘導したがそれでも下げ止まらない。結局大底をつけた3月15日までにSP500は30パーセント以上も下げた。

 

血の気が引くとはこういうことだった。

今年の1月から膨れ上がった累計の投資額からの損失額は信じられない額になっていた。3月末にすべての投資からでた損失を集計したが損失額があまりにも大きく、はやくもSP500へ追加投資するのが怖くなっていた。

 

ウォーレン・バフェットのことばに

 

「みんなが貪欲なときに恐怖心を持ち、みんなが恐怖心を抱いている時に貪欲であれ」

 

というものがあるが、当時のわたしはまったく逆のことをやっていた。みんなが貪欲な時にいっしょになって投資をして、暴落するとみんなと一緒に恐怖心を抱いて怖じ気づいていた。

 

「落ちてくるナイフはつかむな」

 

マーケットが落ちているときは(ナイフが落ちている時は)掴んではいけない。底を打ってから投資したほうがよいという意味だ。

 

落ちるナイフを何度となく掴もうとしていたこの時の私の手は血まみれになっていた。

 

 

 

 

 

 

(17)SP500への投資

’19年の12月から少しずつSP500への投資を開始した。

最初は少額だったが、年が明けて1月が終わる頃には投資額をかなり増やしていた。

毎日SP500の値動きを見ていたが基本的には順調にあがっていった。

少し値を下げて損がではじめた日もあったが、下がったところでさらに

投資していくナンピン買いのようなこともやっていた。

 

あのウォーレン・バフェットが妻への遺言で言っていることを実践しようとしているのにダメなはずがない。

 

「インデックス投資は最適解だ。少し下がっても長期では必ず上がっていくから心配はない。」

 

そんな考えもあり、2月に入っても投資を増やしSP500のETFのポジションが他の投資に比べて突出して大きくなっていった。

 

1月後半には日本へも帰国して、日本にあった預金もシンガポールへ送金した。

投資できるすべての資産をインデックスへ振り向けるつもりだった。

 

2月に入っても順調にSP500は上がっていき、わずか2ヶ月で1万ドルの儲けになった。

投資プランもできあがり、すべての歯車が動き始めた感覚があった。

これなら引退の具体的なプランも考えられそうだ。

リストラされてからようやく掴んだ手応えに喜びで体が震えた。

 

まさに有頂天だった。

 

慢心しているときに人間は足をすくわれる。

そして忘れもしない20年2月15日がやってきた。

(16)インデックス投資という最適解

いろいろなFIRE(経済的な自立とアーリーリタイア)についての本を読んでいくと基本的には一つの結論に帰結する。

 

それはインデックス投資だ。

 

そこに多少のスパイス(分散投資やリバランシングなど)を著者によって加えているが基本は変わらない。

その中での私の一押しの本は「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」だ。

 

もしFIREを目指している人に、投資に関しての本を一冊だけ薦めて欲しいと言われたら迷わずこの本をあげるだろう。

 

 

私が一行でこの本を要約しろといわれたら

 

「借金をなくしてアメリカのインデックスへ投資して放っておこう」

 

である。

 

この本の一番好きなところはこういうシンプルでわかりやすいところである。そして私にとってFIRE(経済的な自立とアーリーリタイア)にその当時に必要だったすべての知識がつまっていた。

 

「投資額の4%で1年を暮らせれば、経済的に自立している」や「私はウォーレン・バフェットだったかな? もし答えがノーだったら、地に足をつけたままインデックス投資を選びましょう。」など、この本はいろんなことをシンプルに教えてくれる。

 

これで投資の方針は決まったのだが、次はどの国のどのインデックスへ投資するかだ。

インデックスといってもいろいろある。日経平均もインデックスのひとつだ。

 

まずはどの国を選ぶかだが、アメリカを選ぶのは即決だった。理由をあげるなら「株式市場が長期で安定的に成長している」ということと「投資家が守られている」ということだ。アメリカ市場はエンロンやリーマン・ショックなど過去多くの失敗から投資家を守るルールが整備されてきた歴史がある。FRBの金融政策の決定も過去の多くの経験に裏打ちされている。

 

次にどのインデックス・ファンドを選ぶかだ

(1)著者のJLコリンズの推しはアメリカ市場全体

(2)投資の神様ウォーレンバフェットは妻への遺言で米大型株SP500へ投資を推奨

(3)ナスダック

(4)ダウ・ジョーンズ

 

ナスダックは値動きが他のインデックスに比べて激しく除外した(*1)、ダウ・ジョーンズもアメリカの代表的なインデックスだが構成銘柄が30種で少し銘柄数が少ない(*2)。

 

あとは好みだが、私はSP500へ投資することを決めて証券口座をあけることにした。

 

*1この値段の振れ幅の大きさを測るものをボラティリティという。数値が高ければ高いほど値動きが激しい

*2いろいろな条件があるがアメリカ株投資の場合、40社以上の銘柄へ分散したほうがリスクを最小限におさえられる。詳しくは「ウォール街のランダムウォーカー」の6. 分散投資という豊かな鉱脈をご参照願いたい。

(15)資産と負債

リストラ宣告から3ヶ月経ち、友人V氏のおかげで少し延命できたが、依然としてピンチなのはかわりない。子供の学費以外はまだなにも根本解決していないのだ。

 

その子供の学費も家内が解決したのであって私自身はこの時点ではなにも達成していなかった。

 

仕事ははじめの二つの面接以外はすすまなかった。

二人の友人やリクルーターが空きポジションいくつか紹介してくれたが面接へ行けたものは一社もなかった。

 

永住権の申請は審査中で、結果がでるのは申請してから6ヶ月くらいといわれていたのでこの頃は待つことしかできなかった。

 

そういうわけで、この頃は投資の本を読んだり、Youtubeで見たりして投資の勉強に集中していた。

 

そんな時に出会ったのがあの有名な「金持ち父さん貧乏父さん」だった。

ひと月ほど前にコーチングのトレーニングに参加したとき、マレーシアで不動産業をやっている女性に会った。パワフルな印象の彼女がマレーシアで事業をやろうと思ったきっかけになったのがこの本だったという。

Kindleで電子版を頼もうとおもったが売っていなかったので本の要約チャンネルをいくつかを見て内容を理解することにした。

 

内容はとても参考になり、いまでも自分の資産管理の基礎になっている。

簡単にいうと「資産はお金を生み出すもの」「負債はお金を自分の財布から奪っていくもの」で資産をもち負債を無くしてお金持ちになろうという内容。

資産とはおもに投資などで(金融資産への投資だけでなく不動産投資も含む)、負債は借金だけでなく、ローンの残っている持ち家などもはいってくる。住宅ローンは毎月自分の財布からお金を奪っていくから負債に該当するのだ。

 

くわしい内容は本の要約チャンネルをみたり、本書を実際に読んだりしていただきたい。

 

この本をきっかけに不要なコストカットをはじめるのだが、詳しくは後日のブログで書くことにする。

 

次回は、いまの自分の投資にも参考にしているおすすめの投資本を紹介していきたい。

 

 

(14)ぎりぎり首がつながる?

さて投資のために愚かな銀行行脚をしていた’19年9月頃に一つ朗報がはいってきた。

 

当時働いていた銀行の別の部署ではたらいていた友人のV氏から5月末まで臨時雇いで税務部を助けてくれないかという申し出だった。V氏は私と同い年で10数年前は同じような役職だったが、いまでは出世してかなり偉くなっていた。

 

いまのままでは11月末には失職しその1ヶ月後には国外退去だが、もし5月末まで退職がのびれば新しい仕事をみつけられる可能性も広がる。これはまさに渡りに船だ。

 

さらに3月まで会社に残れればボーナスも受け取れる。翌年は退職金の支払いがあり税金の支払いが例年より高くなるはずだった。それが少しでも軽減されればありがたい。

 

「このチャンスは逃せない。」

 

さっそく担当部署のふたりにコンタクトをとり、どんな仕事なのか聞くことにした。

社内のカフェでふたりに会うことになった。

 

事情を聞くとふたりのうちの一人が産休を取る予定で、彼女のかわりに新しい税金の計算プロセスを導入するプロジェクトを完了し、そしてその後は残った一人の仕事を五月半ばの産休明けまでサポートするのが主な役割だった。もちろん税務の仕事や税金のプロセスなど入れた経験はないが、知るべき税法とその対象がわかればできるはずだ。

 

まずはプロジェクトだが導入期限は年末まで、配属されるのが11月半ばだとして時間は1ヶ月半しかない。かなりきついスケジュールだが仕事をうけることはすでに決めていた。その場でふたりに関連書類をもらって概要を理解しプロジェクト・プランをつくることにした。

 

プロジェクト・プランができたころには、彼女はすでに産休にはいっていた。

 

そして人事と簡単な面接を終えて11月半ばから税務部へ移ることになった。

 

これですこし首がつながった・・・

タイムリミットは5月末まで伸びた。

(13)銀行の薦める投資商品

ここで少し銀行と個人投資家の関係を話していこう。

シンガポールの銀行で金融商品を購入すると大抵リレーションシップ・マネージャー(RM)がつく。彼らRMが窓口になって投資の相談にのってもらえる。

 

RMのうしろにはお薦めの投資商品を準備するチームがあり、それらをもとにRMが窓口になって顧客にセールスする仕組みだ。

 

投資商品の例としては

(1)アクティブファンドを中心とした投資信託

(2)ストラクチャード・プロダクト

(3)レバレッジング*

などである。

*持っている投資信託や株を担保として銀行へ差し入れてお金を借り、そのお金でさらに違う金融商品を購入して投資額を増やす手法

 

ここまで聞くと良さそうなサービスに聞こえるかもしれないが、問題はこれらのお薦めの金融商品が顧客にとってかならずしもお薦めではないということだ。

 

そしてこれらの商品の取引相手は常に銀行だということだ。彼らの第一の目的は銀行の収益をあげて運用額(AUM)を増やすことだ。

 

そもそもセールスされる商品は彼らが用意したものだ。あなたはセールスされる商品の本当の価値や中身がわかるだろうか? いくら手数料がチャージされているかわかるだろうか? 私はわからないので取引はしない。

私は金融工学で学位をとり、金融に二十年以上勤めているが彼らの薦めるストラクチャード・プロダクトの現在価値を正確にだすのは無理だろう。

 

もうひとつ私が中国ハイイールド債ファンドを売却する一週間前のRMのコメントも紹介しておこう。

 

「いま売るのはまだ早い。もう少し待っているいるべきだ。」

 

現在のファンドの価値は買った当時の4割ほどになっている。

銀行に頼ったからといって資産が増えるわけではないのだ。

 

 

 

(12)なぜ投資すべきでなかったか

では中国ハイイールド債ファンドへの投資をすべきでなかった私個人の理由を挙げてみよう。(注:これはあくまでも個人の見解です。投資判断は各々で行ってください。)

 

(1)手数料が一般のインデックスファンドにくらべて高く、その分だけリターンを削る。私の購入したファンドは販売手数料は2%、運用手数料は毎年1.2%かかった。(販売手数料は銀行によって違う場合があります。)ちなみにSP500に連動したインデックスファンドのVOOのコストは0.03%だ。

 

以下が手数料がリターンを削る具体例だ。

たとえば10万ドルの投資をAかBのどちらか投資しようとする。

 

Aは運用手数料が1.2%

Bは運用手数料が0.03%

 

Aは銀行で買える投資信託、Bはマーケットで買える上場投資信託だとする。

両方のリターンが毎年一定で3%だと仮定すると

 

10年後の資産額は

 

Aが119,530ドル

Bが134,001ドル

 

差は約14,000ドルだ。年数が経つと差はもっと拡大していく。

 

(2)このファンドへの投資比率が高すぎる。この当時で自分のポートフォリオの約半分をこのファンド(中国の高利回り債という投資対象)へいれている。たとえばこのファンドが半値にさがると全体の資産が25%減ることになる。

 

これは非現実的なシナリオではない。前回のこのファンドへの投資の経緯をみてもらうと、実際に現在は半値以下に落ちている。

 

さらにこのファンドは中国への不動産事業への投資比率が現在でも3割になっている。

中国の不動産バブルの崩壊とそれに伴う不動産会社の連鎖倒産は現実的なリスクになっている。(私は不可避だとおもっている。)

 

これらを考慮すると、私にとってこのファンドはリスクが高すぎた。

 

(3)配当金は一定ではなく、減ることもある。これも実際に私が投資していた期間でおきている。これも前回のブログの経緯を参照いただきたい。

 

(4)このファンドのリターンを測るシャープレシオが極端に低い。シャープレシオの細かい定義はGoogle検索に委ねるが、簡単にいうとシャープレシオが1 より大きいと投資妙味があるという風に私は判断している。ちなみにこのファンドのシャープレシオは今年の6月時点で約-1だ。

 

この教訓から、私にとっての投資とは「手数料をなるべく減らして、適正なリスクをとりながら一定のリターンを得る」という理解に至った。

 

 

(11)毎月の配当が1200ドルに

購入した中国ハイイールド債ファンドは毎月配当型のファンドで、以前購入したファンドとともに毎月配当金を出してくれた。二つのファンドからの配当金をあわせると毎月1200ドルにもなった。

 

投資系Youtuberの動画でも「月3万円の配当金」をどうやって得るかを解説しているものをよく見るが、一足飛びに月約10万円の配当金を得られるようになったのだ。

 

「この金額がもっと多くなったら会社を辞めても配当金で生活ができる。」

 

急に目の前に希望がみえたようだった。

 

結論から言うとこの投資はやるべきではなかった。

 

このファンドは複数の中国企業の高利回り債券へ投資していて、不動産会社への投資割合が多かった。それらの企業からの利息が毎月の配当金の源資になっていた。

 

その中で仮に一社が利息を払えなくなっても、他の高利の利息の支払いがカバーしてくれる仕組みになっている。

 

これが私のこのファンドへの投資の経緯だ。

年月 詳細 価格
19年11月 (1)10万ドル分の中国ハイイールド債ファンドを購入。2000ドルを手数料として銀行に払う 0.94
19年12月 (2)第一回目の配当金704ドルが振り込まれる 0.94
20年3月 (3)コロナショックでファンド が下落 0.78
20年12月 (4)ファンドがほぼ購入時の価格に戻る 0.93
21年2月 (5)配当金が667ドルに下がる 0.92
21年7月 (6)恒大集団のデフォルトの危機がニュースになりファンドが下落を始める 0.87
21年9月 (7)ファンドを売却する。通期の利益は3500ドル。年利換算では2パーセントに届かなかった。 0.82
22年8月 (8)ファンドは下落し続ける。もし持ち続けていたら通期で約3万ドルの損失になっていた。 0.4

 

これを踏まえて「なぜ投資すべきでなかったか」を次回説明しよう。

(10)残り3ヶ月!いよいよ投資へ

タネは蒔いたが収穫にはまだ至っていないうちに1ヶ月が経過した。

面接はいまのところ2社のみだった。

 

焦っても仕方がないので3番目の「給料以外からの副収入を得る」へ舵を切った。

 

まずは遊んでいるお金の運用をはじめて副収入を得ようとかんがえた。

いまでは我が家では利息も配当金も生み出さないお金のことを「ニート」と呼んでお金が遊ばないようにしているが、当時は資産や投資に対する意識や知識が低く、ほとんどのお金がニート状態だった。

 

金融で働いているのに「投資の知識がない」というのは不思議に思われるかもしれないが仕事で得られる金融商品の知識と金融商品に投資をして利益を出す知識というのは似て非なるものだ。周りでは証券口座さえ持っていない人も多くいる。

 

まずは永住権のために投資した毎月配当分配型の投資信託にフォーカスした。

毎月配当金がある程度入ってくればまたリストラされても、その収入が助けてくれると考えたからだ。

 

銀行にすすめられて買った商品だったので、同じような商品がないかシティバンク、UOB、HSBC、DBSやOCBCなどの銀行の担当者と次から次へと会って商品説明をきいた。

 

知らないということは恐ろしいことだ。

今考えるとこれほど愚かな行為はないが、この当時は投資の一つの最適解かもしれないと考えていた。

 

毎月配当分配型の投資信託は一見魅力的にみえるが、そんなことは全くない。

理由は単純に手数料が高いからだ。

まず銀行の窓口で購入すると2%の手数料をはらわなくてはならない。10万ドル購入すると2千ドルだ。そして毎年、運用手数料を1%以上とられる。銀行や運用会社は投資信託のパフォーマンスに対して投資家に対して責任はない。あたりまえだが手数料分だけリターンはさがる。

 

投資家はリスクをとって、銀行はノーリスクで手数料だけ取る仕組みだ。

そんなことも知らずに二つ目の投資信託、中国ハイイールド債ファンドへ投資を決めた。この投資で後々苦い経験をすることになる。

 

 

(9)シンガポール永住権申請に必要だったこと(実用編)

前回のブログでシンガポールの永住権申請の話をしましたが、私が使ったエージェントと必要な書類、注意点などをシェアしておきます。

エージェントの名前はIASGです。リンクを貼っておきます。

iasg.com.sg

必ずしもこのエージェントを使うのがベストという意味ではありませんし、他のエージェントの方が良いかもしれません。またエージェントを使わずに取得できた人もたくさんいます。いろいろ体験談を周りの人から聞いたりGoogleでリサーチしてみてご自分でベストだと思う選択をしてください。

 

上記のリンクのContact Usからエージェントとコンタクトできます。私は電話でミーティングの予約を取りました。

 

金額は家族三人で当時(’19年)S$2800ドルでしたが、今は金額が上がっているかもしれません。

 

以下がエージェントがくれた申請に必要な書類のリストです。

  1. 1  Valid passport ID page(s) and back page(s) of all applicant(s)

  2. 2  Employment Pass / S-Pass / Dependent Pass / Work Permit / PEP / Letter of Consent of applicant(s)

  3. 3  Birth certificate(s), official household census list(s) or family register(s) of all applicant(s), where applicable

  4. 4  Name change Affidavits of all applicant(s), where applicable

  5. 5  Foreign ID Card & Citizenship Certificate(s) for other Nationalities, where applicable

  6. 6  Applicant’s official marriage certificate, if applicable

  7. 7  Applicant’s official divorce certificate, if applicable

  8. 8  Applicant's death certificate(s) of spouse/children from existing/previous marriage, if applicable

  9. 9  Applicant's adoptions/custody/court order papers of children from existing/previous marriage, if applicable

  10. 10  Applicant's educational certificate(s) with transcripts / mark sheets (from High School on), where applicable

  11. 11  Spouse's educational certificate(s) with transcripts / mark sheets (from High School on), where applicable

  12. 12  Notice of Assessment(NOA) Income Tax Letters for all Employed Applicant(s) for the last 3 years

  13. 13  All Employed Applicant(s) last 6 months payslips (prior to ICA ePR Submission date)

  14. 14  Main Applicant's Signed Annex A (dated within 1 month prior to ICA e-PR Submission date)

  15. 15  Letter of Employment from all Employed Applicant(s) (dated within 1 month prior to ICA e-PR Submission date)

  16. 16  Completed Profile Questionnaire(これはこのエージェント特有の書類です。)

必要書類の注意点も書いておきます。

  • たくさんの書類が必要に見えますが、通常の申請では必要のない書類もあります。(例えば8は通常いらないはずです。)まずは、リストを見て必要な書類の選定からはじめましょう。
  • 3と6に関しては戸籍を日本から取り寄せる必要がありました。英訳は在シンガポール日本大使館で行えます。在留証明書も必要ですが、これは在シンガポール日本大使館で発行してくれます。
  • 10は卒業証書と成績表の両方が必要です。私は海外の大学を卒業していたので大学のHPから成績表の郵送を申請して送ってもらいました。結構時間がかかる場合があるので早めに申請手続きを行いましょう。
  • 12のIncome Tax Letterは税金の申告をしているIRASの自分のアカウントからダウンロードできます。
  • 14はエージェントが定型書類をくれます。指示にしたがって記入してください。
  • 15は過去に働いていた会社での勤続証明です。私は各会社の人事部に直接電話をして入手しました。
  • 写真のバックグラウンドは白のみです。この辺は写真屋さんに確認して永住権申請用の正しい大きさで正しい背景の写真を撮ってもらってください。髪の毛の眉毛などにかかっていると申請の写真として使えない場合があるので注意してください。
  • この他にも細かい書類が必要ですが、エージェントに確認して用意しましょう。
  • 私と家内はリストをみてから、疑問点をリストアップしてから、もう一度エージェントとミーティングをして細かい点を確認してから準備を始めました。高い費用を払っているので存分にエージェントを利用しましょう。

すでに申請は三年前ですので、応募要件も変わっている可能性があります。詳しくはエージェントと確認してみてください。

(8)永住権取得確率0%!

いくら行動を開始したからといっても三つの課題の一つも解決していないことには変わりない。すぐに次の課題へ移った。

 

(1)新しい仕事をみつける                        [職探し進行中!]

(2)家族でシンガポールの永住権をとる

(3)給料以外からの副収入を得る

 

三つのなかで(1)と(2)はこの4ヶ月でどうにかしないと国外退去のリスクがある。(1)は進行中なので(2)もはじめなければならない。

 

シンガポールでの永住権取得は年々難易度があがっている。

ここ数ヶ月で職場のイギリス人、フランス人、インド人の三人がそれぞれ永住権を申請したが、いずれもダメだった。そのうち一人は永住権取得をサポートしてくれるエージェントを使って申請していた。

 

たった三件のサンプル!と思われるかもしれないが三人とも同じ銀行に勤めていて給与は私と同じくらいか上だった。さらに三人ともシンガポールに五年以上住んでいる。そんな彼らでさえ永住権を所得できなかった。無視できないデータだ。

 

三件のケースでの永住権取得確率0%!

 

この確率をどうやってあげるかだ。

シンガポールは合理的な国だ。

申請者がシンガポールにとって良いか悪いかを冷静に判断して永住権の付与をきめるだろうとの仮定にたった。

給料や滞在期間は変えられない。差別化をするにはシンガポールにどれだけ住みたいかということを数字で示すしかない。

 

まずはエージェントを使うことにした。理由は簡単だ。エージェントは自分より永住権の取得について知っているということもあるが、一番の目的はシンガポールの企業へお金を払うということだ。数社に連絡したが、一番連絡の速かったIASGを使うことにした。

 

そしてシンガポールの銀行を通して投資信託の購入をおこなった。少額投資では意味がない。10万ドルを一気に投資した。手数料は当然、銀行へ。当然、申請書にも載せられる。

 

エージェントの指示でシンガポールの二つのグループへの毎月の寄付もはじめた。これはいまだに続けている。

 

八月末に全ての書類や申請書の準備が整い、エージェントを通して政府機関へ提出した。

(7)2社目は電話面接

1社目の一次面接の週に、2社目の面接のアポがとれた。

欧州系のプライベートバンクだ。

昔、一緒に働いていた元上司のJ氏が紹介してくれて実現したものだった。

リストラされたいまの仕事もJ氏の紹介でみつけられたものだった。

私にとっては恩人であり、尊敬する元上司の一人だ。

 

今回は電話面接だった。

面接官が人事担当者なので経歴とどんな仕事を探しているかを確認するだけだった。

 

日本企業と違って外資系の銀行の採用は人事部ではなく、人をさがしている当該部署がおこなう。人事部はその採用プロセスをサポートしてくれる。

 

面接をしたプライベートバンクの人事担当者はハキハキ話す感じの良い女性だった。

経歴と自分ができるポジションを説明すると、彼女から空きポジションができたら連絡する旨を伝えられた。

 

なんにせよ、種を蒔いておかなければ収穫もできない。

 

いまのところ二つの種を蒔いたが一つは本当に収穫できるか怪しい。

もう一つ蒔いておこう。

 

シンガポールの某リクルーターに連絡を取り会う約束をとりつけた。

今回は、ほかにリストラを宣告されたメンバーにも声をかけてオフィスのそばのカフェで某リクルーター二人とリストラメンバー全員が一同に会うことになった。

リストラされたことや各々が探している職種を説明して散会した。

それぞれの空きポジションがみつかれば向こうから連絡がくる。

 

他に連絡をとった信頼できる友人たちもできる限りのことはしてくれているはずなので、あとは待つだけだ。

 

私がLinkedinを使って仕事を探さないのか疑問をもたれた方もいるかもしれないが、仕事で関わった人のネットワークにまさるものはない。これが3回目の転職だが、いままでの転職は一緒に仕事をした人を介して見つけている。一緒に仕事をして得た信頼関係は一時間の面接の結果などよりよっぽど大きいものだ。

 

 

 

(6)肩透かしの二次面接

順調におわった一次面接の約二週間後に、二次面接がおこなわれた。

今回は面接官が二人だった。

この場合、通常は一人がソフトな役を演じて、もう一人がタフな質問をする設定になる。今回は男性と女性でどうやら女性がソフトな役を演じるようだ。

はじめに入室してきたのは女性だった。

もう一人を待たずに面接がはじまった。

簡単な経歴を聞かれると志望動機を聞かれた。

会社のリストラで仕事を探していることを伝える。

二人目がしばらくして入室してきた。

会社のCOOだった。

彼から質問がいくつかとんできたが、どれも新設部署を切実に作りたいタイプの質問とはほど遠かった。

ふつう、新設部署を本当につくりたい場合、質問はどうやってはじめるかや守備範囲など、もっと具体的なものになるはずだ。彼は数年前に導入されたアメリカの規制について尋ねてきた。わかっていないと答えられない質問ではあったが自分が思っている質問とは程遠かった。

面接とは一緒に働けて共通のミッションを達成できるかを見極める場所だ。

「ほんとに採用する気があるのか?」

というのが率直な気持ちだった。

 

ここで二つの可能性が考えられた。

一つ目は面接官が面接慣れしていないということ。

二つ目は新設部署のプランがまだ具体化していない場合だ。

 

念のため、二人にパワポでつくった新設部署のプランをみせてみたが反応が薄い。

彼らはまだ新設部署がなにをするべきかイメージできていないようだった。

 

後日、リクルーターのR氏を通して新設部署の予算がとれていないことがわかった。

おそらく赴任したCEOが本国帰国前の実績作りの計画の一部なのだろう。動機はどうでもいいが、こういうのはあてにしないほうがいい。

気持ちを切り替えて次のポジションを探すことにした。