(6)肩透かしの二次面接
順調におわった一次面接の約二週間後に、二次面接がおこなわれた。
今回は面接官が二人だった。
この場合、通常は一人がソフトな役を演じて、もう一人がタフな質問をする設定になる。今回は男性と女性でどうやら女性がソフトな役を演じるようだ。
はじめに入室してきたのは女性だった。
もう一人を待たずに面接がはじまった。
簡単な経歴を聞かれると志望動機を聞かれた。
会社のリストラで仕事を探していることを伝える。
二人目がしばらくして入室してきた。
会社のCOOだった。
彼から質問がいくつかとんできたが、どれも新設部署を切実に作りたいタイプの質問とはほど遠かった。
ふつう、新設部署を本当につくりたい場合、質問はどうやってはじめるかや守備範囲など、もっと具体的なものになるはずだ。彼は数年前に導入されたアメリカの規制について尋ねてきた。わかっていないと答えられない質問ではあったが自分が思っている質問とは程遠かった。
面接とは一緒に働けて共通のミッションを達成できるかを見極める場所だ。
「ほんとに採用する気があるのか?」
というのが率直な気持ちだった。
ここで二つの可能性が考えられた。
一つ目は面接官が面接慣れしていないということ。
二つ目は新設部署のプランがまだ具体化していない場合だ。
念のため、二人にパワポでつくった新設部署のプランをみせてみたが反応が薄い。
彼らはまだ新設部署がなにをするべきかイメージできていないようだった。
後日、リクルーターのR氏を通して新設部署の予算がとれていないことがわかった。
おそらく赴任したCEOが本国帰国前の実績作りの計画の一部なのだろう。動機はどうでもいいが、こういうのはあてにしないほうがいい。
気持ちを切り替えて次のポジションを探すことにした。