(18)損失マイナス30%!

その日、2月15日のマーケットは開始から大きく下げた。

前日まで1万ドル以上あったSP500からの儲けは開始早々に0になった。

はじめはアプリが間違っているのかと思ったがそうではなかった。

のちにコロナショックと呼ばれる暴落がはじまったのだった。

 

この日を境にマーケットはすごい勢いで下げていった。

 

「また戻るはずだ。」

 

毎日それを信じて資金を投入していくが2月がおわってもマーケットは下げ止まる気配がなかった。FRBも金利をゼロ金利に誘導したがそれでも下げ止まらない。結局大底をつけた3月15日までにSP500は30パーセント以上も下げた。

 

血の気が引くとはこういうことだった。

今年の1月から膨れ上がった累計の投資額からの損失額は信じられない額になっていた。3月末にすべての投資からでた損失を集計したが損失額があまりにも大きく、はやくもSP500へ追加投資するのが怖くなっていた。

 

ウォーレン・バフェットのことばに

 

「みんなが貪欲なときに恐怖心を持ち、みんなが恐怖心を抱いている時に貪欲であれ」

 

というものがあるが、当時のわたしはまったく逆のことをやっていた。みんなが貪欲な時にいっしょになって投資をして、暴落するとみんなと一緒に恐怖心を抱いて怖じ気づいていた。

 

「落ちてくるナイフはつかむな」

 

マーケットが落ちているときは(ナイフが落ちている時は)掴んではいけない。底を打ってから投資したほうがよいという意味だ。

 

落ちるナイフを何度となく掴もうとしていたこの時の私の手は血まみれになっていた。