(29)勘違い投資家の金への投資

この頃(’20年7月)は分散投資のため金への投資もはじめていた。

市場では金融緩和で大量のドルが市場へ流れ込み、一部は金市場へも流入して金の価格も押し上げるだろうという分析を聞いたのがまさにこの頃だった。金の市場の規模は債券や株にくらべるとかなり小さく、一部でもドルが流れ込めば金価格の上昇が期待できそうだった。

 

私の勤めていたプライベート・バンクの投資アドバイスでも金への投資をすすめているものが見受けられた。

 

決定的だったのが、あの投資の神様、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイも金鉱株(金鉱山をもっている会社の株への投資)への投資をおこなったというニュースが流れた。

weekly-economist.mainichi.jp

 

「金は上がる!」と思った瞬間だった。

 

私は自分の投資のタイミングが絶妙だったと得意満面だった。

 

私の投資のバイブルでもある「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」のなかで

特定の株式銘柄やファンドマネジャーを選ぼうとする前に、自分に問いかける質問があります。

「私はウォーレン・バフェットだったかな?」

もし答えがノーだったら、地に足をつけたまま、インデックス投資を選びましょう。

 

このことをすっかり忘れていた私は、金への投資でいっぱしの投資家気取りだった。身の程しらずもいいところだった。

 

結果からいうと、私が欲を出してほとんどの金のポジションを買った7月と8月は金価格のほぼ天井だった。本当に賢い投資家たちはその時に売り抜けて利確し、収益は彼らのポケットへ入っていった。

 

金の価格はその後、期待していた上昇はなく、'22年の3月に上がりすぎたインフレ率を叩くためFRBが金融引き締めを開始した月から下がり始めた。

 

私の金のポジションはどうなったかというと含み損を抱えながらいまだに私のポートフォリオの一部になっている。

 

さて、金の価格がおもったほど上がらなかったのは、いつもなら金市場へ流れ込むはずのドルの一部がビットコインへ流れ込んだという分析をあとになって聞いた。そのビットコインへも投資をしたが、ここでも損失をだしてあえなく撤退した。

 

[Ref] 3月と4月に恐る恐る購入した金のポジションは今でも多少の利益を出しているが、その後に欲を出して購入した7月、8月の大きなポジション(下記のチャート上の赤い楕円部分)は現在も損失を計上している。