(27)コロナショックと金融緩和

’20年3月にコロナショックで底をうった株式市場は、その後すごい勢いで回復した。FRBが大型の金融緩和を開始したのだ。政府も現金給付などの支援策を打ち出しその勢いを後押しした。そして7月には年末の水準を回復していた。

 

この頃まで怖気付いていて少額の投資しかできていなかったが、意を決して7月から本格的にSP500への投資を再開した。

 

二番底を心配する声も市場には引き続きあったが、かまわず8月にも継続してインデックス・ファンドへの投資を継続した。

 

9月には株式市場は下落したが、結局二番底らしい二番底は訪れず、10月には再度上昇して3月のコロナショック以来、損失をかかえていた私のポートフォリオは、わずか0.3%だったがようやくプラスに転じた。

 

余談だがこの頃、

「経済は回復していないのに、株価が上がるのはおかしい。こんなおかしな時に株へ投資はできない。」

という声をよく聞いた。

 

これに対する反論は、

株価というのは、すでに経済状況が金融緩和で好転する未来を織り込んでいるので、実際の失業率やGDPの改善よりはやく上がっていく。(効率的市場仮説)

である。

 

ちなみにGDPと株価の間に相関は認められていない。たとえGDPが上がっても株価も同じようにはあがらないのだ。

GDP & Stock Market Returns (DJIA) | Seeking Alpha

 

こんなこともよく聞いた。

「いまの株価は高すぎる。いまは買ってはだめだ。これから下落局面がくるはずだ。私はその時買うつもりだ。」

 

ちなみにこの意見を言っていたのは、投資銀行に10年以上勤めている者友人数名を含めて複数存在した。

 

なにをもって高すぎるのか?

PERの平均と比べて割高なのか? バフェット指数が100を上回っているから割高なのか? ファンダメタルと比較して割高なのか?

 

そして彼らの答えは

「一本調子で上がり続けているのはおかしい。」

という理由だった。

つまりなんの根拠もないイメージだったのだ。

 

ちなみにシンガポールでもよく使われているSimply Wall Streetという株の分析をしてくれるアプリで、この当時のVOO(SP500に連動するETF)の時価を確認したが、VOOの当時の価格は実際の価値(マーケット・バリュー)よりかなり割安だという評価だった。

 

そしてSP500は結局その後、翌年の12月まで上昇を続けた。空前のブル・マーケットの到来だった。

 

少なくともFIREや投資に関してはイメージではなくデータをみて行動しようと思わせる経験だった。