(28)分散投資の罠

’20年の7月より再開したSP500への投資と並行して、分散投資も行うことにした。コロナショックのような暴落がもしまた起こったときに、その動きをヘッジできる別の金融商品へ投資しておけばダメージも少なく抑えられる。

 

ではどんな商品で、私の投資したSP500をヘッジできるかというと例えば米国債などが浮かんでくる。なぜなら債券の価格と株価は相関が低く、あまり一緒に動かないからだ。つまりひとつの投資から損失がでても、もうひとつがカバーして損失を減らしてくれる。

一緒になって下がってしまう商品ではリスクヘッジはできない。

 

こんなシナリオが考えられる。

 

(1)株価が暴落して失業率が上がる

(2)FRBが金利を下げる

(3)債券価格が上がってくる

 

金利と債券の価格はシーソーのような関係なので(2)がおこれば(3)がおこる。

 

まさにコロナショックでも起こったようなシナリオだ。

 

このシナリオで株(SP500)しか持っていなかったのがコロナショック当時の私だった。

 

もしここで債券も同時に持っていたら、しばらくしてから(3)が起こって債券からは収益がでていたはずだ。そうなれば株の損失を多少吸収してくれていたはずだ。

 

これが分散投資によるリスクヘッジの一例だ。

この考え方に沿って米国債のETF(BND)への投資も7月くらいからSP500への投資の再開と同時にはじめた。

 

一見すると正しい行動のように聞こえるかもしれないが、わたしはこんなことはもうやらない。

 

なぜか?

 

このとき、FRBは金利を最低レベルの0〜0.5%に誘導している。ということは米国債の価格も高値レベルにあるといえる。わざわざ商品の値段が高いときに、なぜ値段の高い商品を買いにいくのだろうか?

 

もうすこしシナリオをすすめてみよう。

(1)失業率を下げるためにFRBが金融緩和をする

(2)株価が上がってくる

(3)失業率が下がってくる

(4)インフレ率が上がってくる

(5)FRBが金利を上げる

(6)債券価格が下がる

 

かなり単純化したシナリオだが

こうなるとヘッジのために買った債券の価格が下がり、損失がでるということだ。たとえリスクが減ろうと、こんな損失を前提とするリスクヘッジはやるべきだろうか。

 

普段の生活で1年後に値段が下がりそうなものを今日買うだろうか? 私のとった行動はまさにそんな行動だった。

「リスクはただ分散すればよいというものではない。」ということを学んだ。

 

[Ref] 下のチャートはヘッジのために購入したBNDのものだ。私の購入時期は赤い楕円で囲まれた部分だ。購入時期から金融引き締めがはじまった今年の3月まで見事に下落トレンドに入っている。

念のために、コロナショック時の三月は株も債券も両方さがっている。これはマーケットの参加者の多くが持っている金融商品を現金にかえるからだ。「寄らば大樹の陰」人間はなにか起こったときには現金をもっておきたくなる。