(4)予想外の速さで面接へ

シンガポールはインフラが整備されていて、国民の教育水準も高く、税金も安い。さらに公用語が英語だ。それに加えて10年前は生活費や人件費などもいまほど高くなかった。そのため多くの投資銀行がここにアジアの拠点を築いて規模を拡大してきたが、人件費やその他のコストの上昇に伴って多くの銀行がインドやフィリピンへ仕事を移しシンガポールでの仕事は減り始めた。今回のリストラもその縮小の流れの一部だった。

当然、転職の「イス取りゲーム」も10年前にくらべて格段に厳しい状況だった。

外国人はビザの問題もあるため、イス取りゲームも更に厳しくなる。

 

そんな現状を痛感していたので面接までの道のりはある程度時間がかかると覚悟していた。

ところがメッセージを送った翌週、日本にいる「できるリクルーター」のR氏からシンガポールにある証券会社が新設の部署をつくるため人を探しているという連絡を受けた。仕事内容を聞くとやったことのある仕事でノウハウもあった。

 

「これならいけそうだ!」

 

すぐにR氏に連絡をとるとR氏は次の週にはそこの社長との面接をセットアップしてくれた。さすが手際がいい。

 

こんな貴重なチャンスは無駄にできない。早速面接に備えての準備をはじめた。面接はキャリアの中で百人以上やっている。どうやってふるいにかけるかも良くわかっている。

焦点は二つに絞った。

 

(1)自分がいままでやってきた仕事を簡潔に説明できるようにする。あたりまえだがWHYの説明が大切だ。ちなみにHOWに比重をおきすぎてしまうと経験上印象がよくない。

(2)新設の部署をつくる場合の自分なりのプラン。

 

まずは草稿を作ってから徐々にブラッシュアップしていく。スーツも新調していざ本番だ。